生前整理とは

生前整理とは、元気なうちに身の回りの物と財産を整理し、自分に何かあったときの希望を家族へ伝えておくことです。物を減らす片付けだけでなく、通帳や保険の一覧を作ること、スマホの備えをすること、遺言書を考えることまで含みます。

全部を一度にやる必要はありません。最初の一歩は、書類を1か所に集めることや、着なくなった服を一袋分減らすことで十分です。

生前整理と、似た言葉の違い
言葉意味
生前整理本人が元気なうちに、物、財産、情報、希望を整理します。
遺品整理亡くなった後に、家族などが故人の持ち物を整理します。本人の希望は確かめられません。
老前整理老いて体力が落ちる前に、これからの暮らしに合わせて持ち物を減らす片付けです。
終活葬儀、お墓、医療、介護の希望なども含む、人生の終わりに向けた準備の全体です。生前整理はその一部です。

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生前整理のやることリスト

やることは大きく4つに分かれます。どこからでも始められますが、急な入院や事故のときに家族がすぐ困るのは、2と3です。

生前整理でやること
分類具体的にすること
1.物服、食器、本、布団、趣味の品を減らす。写真と手紙を選ぶ。使っていない部屋と物置を見直す。
2.お金と書類通帳、印鑑、保険証券、権利書、年金の書類の場所をまとめる。使っていない口座やカードを減らす。借入や連帯保証も書き出す。
3.スマホと契約スマホのロックの解除方法を残す。ネット銀行、証券、サブスクなど、スマホの中の契約を一覧にする。
4.希望医療、介護、葬儀、お墓の希望、連絡してほしい人を書く。分け方を決めたいなら遺言書を考える。

生前整理の進め方

気力のある順ではなく、後回しにすると困る順に進めます。

  1. 大事な書類を1か所に集めるひとまず箱ひとつに
  2. 財産と契約を一覧にする金額より、どこにあるか
  3. スマホの備えをする解除方法を家族が分かるように
  4. 物を減らす判断が楽な物から
  5. 希望を書き、家族に話す1年に1度は見直す

物は判断しやすい場所から

写真や手紙から始めると、読み返して手が止まります。消耗品、壊れた物、同じ物がいくつもある台所や洗面所から始めて、迷う品は箱に入れて日付を書き、期限を決めて見直します。

家族には結果だけでなく理由も話す

黙って捨てると、家族が大切に思っていた品まで手放すことがあります。譲りたい品は相手に欲しいかを聞き、書類の場所は家族の一人だけでも知っているようにしておきます。

迷う品の仕分け方を読む

生前整理はいつから始めるか

決まった年齢はありません。体力と判断力があるうちのほうが楽なので、思い立ったときが始めどきです。きっかけとして多いのは、子どもの独立、定年、住み替え、自分や配偶者の入院です。

階段の上り下りや重い物の移動がつらくなってからは、物の整理が一気に大変になります。書類と情報の整理は座ってできるので、先に済ませておくと安心です。

生前整理のメリットとデメリット

メリットは、残された家族のためだけではありません。デメリットの多くは、一度に片付けようとすると大きくなります。一日に一か所、捨てるか迷う品はいったん保留、という進め方で小さくできます。

生前整理のメリットとデメリット
内容
メリット探し物と余計な買い物が減る。家の中で動きやすくなる。入院のときに頼みやすい。残す品を自分で選べる。家族が片付けと手続きで迷う場面が減る。
デメリット時間と体力がかかる。業者に頼めば費用もかかる。急いで捨てて後悔することがある。財産の話で家族と気まずくなることがある。

スマホとパスワードを家族が開けるようにしておく

国民生活センターには、故人のスマホが開けず、ネット銀行の契約先が分からない、解約できずサブスクの請求が止められない、といった相談が寄せられています。スマホの中の契約は、紙の通帳と違って家族の目に入りません。

同センターは、サービス名やIDなどを整理しておくことに加えて、スマホのロックの解除方法を家族が分かるようにしておくことを勧めています。パスワードを書いた紙に修正テープを重ねて隠し、家族が見つけられる場所に置いておく方法も紹介しています。

  • スマホのロックの解除方法を、信頼できる家族が分かるようにしておく
  • ネット銀行、証券、電子マネー、サブスクの名前を一覧にする
  • 一覧には残高を書かなくてもよい。サービスがあると分かることが大切
  • 写真や連絡先の保存先を確かめる

エンディングノートと財産目録の作り方

エンディングノートは決まった形のない家族へのメモで、市販のノートでも普通のノートでもかまいません。財産目録は、持っている財産と借入の一覧です。完璧を目指さず、まず名前と場所だけを書きます。

  • 財産:銀行と支店、証券、保険、不動産、車、借入、連帯保証
  • 連絡:親族、友人、かかりつけの病院、公共料金や契約の問い合わせ先
  • 希望:延命治療、介護、葬儀、お墓、ペット、譲りたい品
  • 口座の暗証番号は書かず、一覧と書類の場所を家族に伝える

要らない物の手放し方

捨てる前に、次の順番で考えると無駄が減ります。市のごみの出し方は住んでいる市町村で違うので、大きな物は粗大ごみの案内を確かめてください。

物の手放し方
方法向いている物
家族や知人に譲る相手が欲しいと言った品。先に聞くことが大切です。
売る着物、時計、貴金属、骨董、趣味の品など。古物商の許可がある相手かを確かめます。
市のごみに出す傷んだ物、値段がつかない物。家電4品目は家電リサイクルの手順で引き渡します。
供養を頼む人形や写真など、そのまま捨てにくい品。

買取を相談できる品を見るお住まいの地域のごみの出し方を見る

財産を渡すときの注意

生前に品物やお金を渡すと、贈与にあたることがあります。暦年課税では、受け取った人の1月1日から12月31日までの贈与の合計が110万円を超えると、翌年の2月1日から3月15日までに申告と納税が必要です。宝石や美術品など、高く評価される品も合計に含まれることがあります。110万円以下でも、相続や遺贈で財産を受け取る人への亡くなる前の一定期間の贈与は、相続税の計算に加えられます(2026年12月31日までに亡くなった場合は3年以内。それ以降は国税庁の案内で確かめてください)。金額が大きくなりそうなら、税理士や税務署に確かめてください。

誰に何を渡すかをはっきり決めておきたいときは、遺言書を考えます。エンディングノートは家族への手紙として役立ちますが、遺言書の代わりにはなりません。自筆で書いた遺言書は、法務局に預ける制度もあり、亡くなった後に指定した人へ通知してもらう仕組みも用意されています。形式に決まりがあるので、法務省の案内か専門家で確かめてください。

生前整理を業者に頼むときの費用

自分でやれば、かかるのはごみの処理手数料などの実費が中心です。大きな家具の運び出しや、家全体の片付けを業者に頼むなら、公開されている相場の一例は次のとおりです。物の量と運び出しの条件で変わるので、実際の金額は見積もりで確かめてください。

財産目録の作成や遺言書の相談は、片付けの業者ではなく、税理士、司法書士、行政書士、弁護士などの分野です。

生前整理の費用相場の例(出典:みんなの遺品整理)
間取り費用の目安(人数・時間)
1R・1K3万〜8万円(1〜2名・1〜2時間)
1LDK7万〜20万円(2〜4名・2〜6時間)
2LDK12万〜30万円(3〜6名・3〜8時間)
3LDK17万〜50万円(4〜8名・5〜12時間)
4LDK以上22万〜60万円(4〜10名・6〜15時間)

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親に生前整理をすすめるとき

「そろそろ捨てて」と言うと、親は自分の暮らしを否定されたと感じやすいものです。「入院したときに書類の場所が分からないと困るから教えて」のように、親を手伝うための話から入ると、進めやすくなります。物の片付けは、親が使う場所の安全を確かめるところからにします。

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