実家じまいとは

実家じまいは、親の死去や施設への入居などで住む人がいなくなった実家を、片付けて、売却、賃貸、解体などで整理することです。片付けだけで終わらず、家と土地をどうするかまでを含みます。

何から始めるか迷ったら、最初にするのは片付けではなく、方針と名義の確認です。売るのか残すのかで片付ける範囲が変わり、名義が親のままでは売ることができません。

  1. 方針を話し合う親、きょうだいと
  2. 名義と書類を確かめる登記、固定資産税の通知
  3. 費用の見当をつける片付け、解体、売却
  4. 家の中を片付ける売り方に合わせた範囲で
  5. 売却・解体などを進める税金の期限も確かめる

実家じまいはいつ、誰が始めるか

親の状況で、決める人と進められることが違います。

親の状況別の実家じまい
親の状況決める人と進め方
親が元気決めるのは親です。家をどうしたいか、書類の場所を聞きます。名義人である親の判断で動けるので、選択肢を一番多く残せます。
親が施設に入った親の意思が前提です。判断が難しいときは、売却に成年後見制度などが関わるので専門家へ相談します。
親が亡くなった相続人で話し合います。遺言の有無を確かめ、相続登記をしてから売却します。相続放棄を考えるなら、処分の前に相談します。

親が施設に入るときの片付けを読む一人っ子の実家の片付けを読む

実家じまいの手順

全体で数か月から、長いと数年かかります。話し合いと相続の手続き、買い手を探す期間で変わります。

1.家族で方針を話し合う

売る、貸す、解体する、誰かが住むの中から考えます。あわせて、費用を誰が出すか、売れたお金をどう分けるかも話します。後から揉めやすいところなので、決めたことはメモに残して共有します。

2.名義と権利を確かめる

固定資産税の通知書や登記事項証明書で、名義人を確かめます。祖父母の名義のままのこともあります。相続で取得した人には相続登記の義務があり、取得を知った日から3年以内、2024年4月1日より前の相続で未登記のものは原則2027年3月31日までです。怠ると10万円以下の過料の対象になります。遺産分割がまとまったら、その日から3年以内の登記も必要です。

3.売れるか、解体するといくらかを調べる

不動産会社に査定を頼み、解体の見積もりと比べます。建物を残して売るのか、更地にするのかは、片付けの前に聞いておきます。

4.家の中を片付ける

書類と貴重品を探し、残す物を分けてから手放します。仏壇がある場合は、閉眼供養をするかどうかを親族やお寺に相談します。片付けの途中で現金が出てきたら、亡くなった方の物なら相続財産なので、勝手に使わず、記録して相続人に伝えます。

5.手放して、契約を止める

売却や解体の後に、電気、ガス、水道、電話、インターネットの解約、郵便の整理、火災保険の解約を行います。売却した翌年は、確定申告が必要になることがあります。

実家の片付けの順番を読む手続きの期限を読む

実家じまいの費用

数十万円から数百万円が目安とされ、解体の有無で大きく変わります。下は朝日新聞Reライフの記事に載っている目安です。家の広さや地域で変わるので、見積もりで確かめてください。

実家じまいの費用の目安の例(出典:朝日新聞Reライフ)
項目目安
遺品整理の業者1R・1Kで3万〜8万円、3LDK以上で20万〜60万円程度
解体30坪の木造住宅で120万円程度。木造は坪4万〜5万円、鉄骨は6万〜7万円、鉄筋コンクリートは8万〜9万円
売却の仲介手数料売却価格800万円以下は30万円+税、801万円以上は売却価格の3%+6万円+税
相続登記登録免許税は不動産の評価額の0.4%。司法書士に頼むと報酬が別にかかり、15万円前後が相場
測量確定測量をする場合、30坪程度の土地で30万〜50万円程度
仏壇お寺に頼むと4万〜5万円程度、仏壇店は2万〜8万円程度

費用を抑える方法

親が元気なうちに少しずつ片付ける、自分で出せる物は市町村の収集に出す、片付けや解体は複数社に見積もりを取る、売れる物は買取に回す、という方法があります。解体が必要なら、補助金は工事の前に申請が要るので先に調べます。

遺品整理の費用相場を読む一軒家の費用を読む

実家を売るときの税金の特例

家を売って利益が出ると、譲渡所得に税金がかかります。次の特例を使えると負担が大きく変わります。どちらも条件が多く、片付けや解体、人に貸す前に、税務署や税理士へ確かめてください。

  • 1981年5月31日以前に建てられた家で、マンションなどの区分所有ではないこと
  • 相続の直前に、亡くなった方のほかに住んでいた人がいないこと
  • 耐震基準を満たす家を売るか、取り壊して土地を売ること(売った翌年2月15日までの工事でも可)
  • 相続から売却まで、事業や貸付け、居住に使っていないこと
  • 売却代金が1億円以下で、特別の関係がある人への売却ではないこと
  • 家と敷地を取得した相続人が3人以上なら、控除は最高2,000万円
  • 市区町村の確認書を添えて確定申告をすること。老人ホームなどに入所していた場合は別の条件がある
実家の売却で関わる3,000万円の特例
場合主な条件
親が生きているうちに売るマイホームを売ったときの特例です。親が住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、親子や夫婦など特別な関係の人への売却でないことなどが条件です。
相続してから売る相続した空き家の特例です。2027年12月31日までの売却で、相続の開始から3年を経過する年の12月31日までに売ることなどが条件です。

実家じまいで使える補助金

補助の有無は市町村で違うので、実家のある市町村で調べます。片付けそのものより、古い家の解体や耐震改修が対象になっていることが多く、工事の前に申請が要るものがほとんどです。ここでは堺市の例を載せます。

堺市の主な制度(2026年11月1日確認。条件と受付状況は市に確かめてください)
制度内容
耐震性能不足木造住宅の除却補助1981年5月以前に建てられた木造住宅で、耐震診断の結果、倒壊の可能性があると判定されたものの除却工事費の一部を補助します。一戸建ての限度額は60万円です。設計や工事の前に申請が必要で、市税を滞納していると受けられません。
新湊地区の老朽木造住宅の除却補助密集市街地(新湊地区)にある1981年5月以前の木造住宅の除却工事費の一部を補助します。
耐震改修の補助空き家を耐震改修する場合も対象になります。
空き家対策応援ローン池田泉州銀行と連携し、空き家の改修や解体の借入金利を引き下げます。

実家が売れないときの選択肢

古い家や交通の不便な場所では、すぐに売れないことがあります。放置する前に、次の方法を比べます。

  • 更地にして売る、または建物つきのまま安くして売る
  • 空き家バンクに登録して買い手や借り手を探す
  • 空き家の買取を扱う会社に査定を頼む
  • 親族や近所に譲る。贈与の税金は税務署に確かめる
  • 相続した土地を国に引き渡す相続土地国庫帰属制度を調べる(条件と負担金があります)

実家じまいをせず放置するとどうなるか

固定資産税、光熱費、保険料、庭の手入れ、見回りの手間が続きます。人が住まない家は傷みやすく、放置すれば売りにくくなります。空家法にもとづいて市町村の勧告を受けると、住宅用地の特例から外れて固定資産税が上がることがあります。すぐに手放せなくても、誰が管理するかだけは決めておきます。

実家じまいが寂しい、つらいとき

育った家を手放すのは、片付けとは別のつらさがあります。寂しいと感じるのは当然です。急ぐ理由がなければ、家族で最後に集まる日を作る、家の中や庭を写真に撮っておく、柱の傷や思い出の品を少しだけ残す、といった時間を取ってください。

親が元気なら、親の気持ちも聞いてください。子が先に話を進めると、親は家を取り上げられるように感じることがあります。

堺市の実家じまいで使える相談先

堺市は空き家の相談窓口を複数用意しています。どれも、まず電話か市のページで条件を確かめてください。

堺市の実家じまいの相談先(2026年11月1日確認)
窓口内容
堺市住宅専門家相談弁護士の法律相談、司法書士の相続相談、宅地建物取引士の活用相談が無料です。予約制で定員があります。住宅施策推進課 072-228-8215。
堺市空家等利活用支援制度民間の不動産団体と連携し、売却、賃貸、解体の相談と提案を無料で行っています。
大阪府不動産コンサルティング協会市が指定した空家等管理活用支援法人です。電話 072-275-5530。
さかい空き家バンク同じく市が指定した支援法人です。電話 072-242-6720。
堺市版 すまいの終活navi面積や最寄り駅などを入力すると、解体費用と解体後の土地の売却価格の概算を無料で調べられます。
すまいのプランニングノート住宅の情報や今後の意向を書き残すノートです。親が元気なうちの話し合いに使えます。

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